銀河ぎんが図書館としょかん

鷺沢さぎさわ文香ふみか(M・A・O)

• 三桁みけた(さんぎょう)と四よん文字もじの空そらを見上みあげてる

  仰首望向三行四字的天空

• 夜空よぞらの果はての本棚ほんだなの国くにの中なか

  在夜空最深處，書架的國度中

• 何回なんかいも書かいては消きえていった言葉ことば

  這言語無論寫多少次都最終歸於消散

• 真まっ白しろな宇宙うちゅうに尾おを描かいたほうき星ぼし

  潔白無瑕的宇宙中畫出尾巴的彗星

• 空そらを割さいて線せんを書かいた

  畫出了劃破長空的一綫

• それは嘘うそみたいに美うつくしく

  美似謊言，美如夢幻

• 溢あふれた文字もじ 夜空よぞらの一いち頁ぺーじ

  泉湧的文字 夜空的一頁

• この手てが今いま触ふれる物語ものがたり

  是這隻手 現在觸碰的故事

• 消きえてしまう 朝あさがくるのならば

  若是抹消一切的早上終將到來

• 世界せかいを満みたした言葉ことばを全部ぜんぶ

  就會把這充滿世界的言語全部

• 光ひかりを全部ぜんぶ

  把這光芒全部

• 図書館としょかんの銀河ぎんがから逆さかさまに落おちた

  從圖書館的銀河頭朝下地墜下來

• 少女しょうじょがやがて恋こいを知しるストーリーすとーりー

  Story裡女孩終於知曉戀愛

• 祈いのるように 揺ゆれるように

  彷彿祈願 好似搖曳

• 誰だれもいない夜よるを紡つむいで

  編織出空無一人的夜

• 題名だいめい(なまえ)のない 夜空よぞらの一いち頁ぺーじ

  沒有題名的 夜空的一頁

• 瞳ひとみの中なか焼やきついた景色けしき

  此景此情 烙印在雙眼

• 言葉ことばの海うみ 有あり余あまる奇跡きせきの中なかで

  言語的海洋 在充滿的奇蹟中

• 溢あふれた文字もじ 夜空よぞらの一いち頁ぺーじ

  泉湧的文字 夜空的一頁

• この手てが今いま触ふれる物語ものがたり

  是這隻手 現在觸碰的故事

• 夜よるがいま明あけてゆくよ、だけど

  早上的腳步慢慢走來 然而

• 世界せかいを満みたした言葉ことばを全部ぜんぶ

  這充滿世界的言語全部

• 大おおきな大おおきな図書館としょかんで、

  在大大的圖書館裡面

• 女おんなの子こが本ほんを読よんでいました

  女孩靜靜地讀著書

• そこはとても静しずかな場所ばしょ

  那是一個靜悄悄的地方

• だれもいない銀河ぎんがの果はてで

  在空無一人的銀河的最深處

• 女おんなの子こは、本ほんを読よんでいました

  女孩靜靜地讀著書

• 女おんなの子こは寂さびしくなんてありません

  女孩並沒有感到寂寞

• 本ほんを開ひらけばそこには、たくさんの物語ものがたりがありました

  打開書的話那裡面 就有許許多多的故事

• しかし、ある日ひ大おおきな嵐あらしが来きて、

  但是，有一天大風暴吹了過來

• 女おんなの子こは、知しらない星ほしへと落おとされてしまったのです

  女孩落到了不認識的星星上

• 目めを覚さますと、そこは四角しかくい空そらの不気味ぶきみな街まち

  睜開眼睛看到的是四邊形的天空和瘮人的街

• 女おんなの子こは、怖こわくて怖こわくて仕方しかたありませんでした

  女孩害怕得無所適從

• そこへ一人ひとりの人ひとがやってきて、本ほんを手渡てわたしてこう言いいました

  有一個人向那裡走了過來，給了她一本書這樣說道

• 「さぁ、君きみの物語ものがたりを聞きかせて!」

  “來吧，告訴我你的故事吧!”

• 本ほんを読よみ始はじめると、たくさんの人ひとがやってきました

  一翻開了書頁，就有好多人聚了過來

• わくわく、どきどきしながらみんな物語ものがたりに夢中むちゅうでした

  她雙眼閃亮，心兒怦怦地沉浸在大家的故事裡

• 「めでたしめでたし」

  “可喜可賀，可喜可賀”

• みんなは笑顔えがおになって、

  大家都露出了笑容

• 四角しかくい空そらにも星ほしがきらめきだすのでした

  四邊形的天空中，星星也開始閃耀

• 本ほんを渡わたした誰だれかが女おんなの子この前まえにやってきて言いいました

  拿到女孩的書的誰來到女孩面前說

• 「素敵すてきな物語ものがたりをありがとう。

  “謝謝你精彩的故事

• 君きみをずっとずっと、待まっていたんだ!」

  我們一直一直在等你呀!”

• 女おんなの子こはどうしてか、

  女孩不知道為什麼

• 顔かおを真まっ赤かにしながら、笑わらいました。

  臉紅紅地笑了