瑠璃るりの鳥とり

琉璃之鳥

霜月しもつきはるか

• 震ふるえ届とどく風かぜ 頬ほほ撫なでゆく

  顫抖傳來隨風輕撫過臉頰

• 静寂せいじゃくに抗あらがう 赤子あかごのように

  如同對抗寂靜的嬰兒

• 抱かかえ込こみ離はなさなかった

  雙手緊緊懷抱著不放

• 籠かごは容易たやすく崩くずれ去さる

  籠子輕易地崩塌碎裂

• 限かぎられた時間じかん(とき)と空間くうかん(はざま)をゆく

  穿越有限的時間與空間

• 瑠璃るりの鳥とり 示しめした星ほしの兆きざし

  琉璃之鳥顯示了星辰的徵兆

• 月つきを背せにした暗闇くらやみさえも

  甚至連背對月亮的黑暗都

• いとおしく思おもえる

  能覺得令人憐愛

• 罅割ひびわれ欠かけていく 歪ゆがんだ糸いと模様もよう

  裂痕漸漸產生缺口 早已扭曲的紋路

• 届とどかない叫さけびを この胸むねに押おさえて

  將傳達不到的吶喊 深藏在心中

• 翳かざした手てのひら すり抜ぬけていく

  從舉起的手掌心穿越

• 思おもい出だせもしない

  絲毫不回想起

• 打うち棄すてた身体からだ 迷まよいの中なか

  棄之不理的身體在迷惘中

• 漂ただよい辿たどり着つくのは 途切とぎれた軌跡きせき

  漂流著最後到達的卻是中斷的軌跡

• 明あける空そらを忌いみ 影かげ落おとす者もの

  天亮映照出厭惡拂曉的身影

• 望のぞむべきものは ここに無ないと

  說著「這裡沒有應當期望的事物」

• 踏ふみ出だした土つちは脆もろくて

  邁出步伐的地面卻脆弱不堪

• 孤独こどくのままに 堕おちてゆく

  只能孤獨地不斷墜落

• 閉とざされた世界せかいを 破やぶり逃のがれるなら

  就算能打破封閉的世界從中逃離

• 儚はかない願ねがいは 叶かなえられるはずもない

  虛幻的願望應該也無法實現

• 確たしかな記憶きおくを紡つむぐように

  為了編織確實的記憶

• 悲かなしみが見みえぬように

  希望能不再看見悲傷

• 懼おそれた答こたえは無間むけんの中なか

  令人畏懼的答案在無止盡的地獄中

• 出いでた殻からは紅あかく染そまった―

  出現的殼早已染上血紅─

• 翳かざした手てのひら すり抜ぬけていく

  從舉起的手掌心穿越

• もう動うごくこともない

  已經一動也不動

• 奇蹟きせきを信しんじた無垢むくの心こころ

  相信奇蹟的純潔心靈

• 遠とおい神話しんわのよう

  如同久遠的神話

• 光ひかりを集あつめた瑠璃るりの鳥とりよ

  聚集光芒的琉璃之鳥啊

• 行方ゆくえも分わからないまま

  至今仍然未知去向

• 打うち棄すてた身体からだ 迷まよいの中なか

  棄之不理的身體在迷惘中

• 漂ただよい辿たどり着つくのは 途切とぎれた軌跡きせき

  漂流著最後到達的卻是中斷的軌跡