慕情ぼじょう春海はるみ～比翼ひよく篇へん～(原題げんだい：春はるの海うみ)

睦月むつき始はじめ (鳥海とりうみ浩輔こうすけ)

• 猛もう春しゅんの空そらの霞かすみ、眺ながむ。

  初春天空彩霞，遠眺。

• 淑しゅく気き満みつ刹那せつな、霞かすみ晴はれし。

  新春祥瑞福滿剎那，薄霧散去。

• 沁沁しんしんとして 山深やまぶかし 小暗おぐらしの間あい 寄より添そって。

  沉靜深山之間如此昏暗，不覺偎近。

• 時ときのどむ明あけ六むつ 響どよみ、天あま伝つたう 東雲しののめ

  與時之願，朝晨六時騷亂起，天傳於黎明。

• 諸もろ恋ごいて 真日まけ長ながく 恋こい渡わたる。

  相思相愛，戀慕之心已續長日。

• 思おもい積つみてもなお、比翼ひよくは恋衣こいごろも離はなさず。

  即便思念久積，比翼也未曾離於戀心。

• 斑雪まだらゆきの隙間すきまから 紅くれないの薄様うすよう。

  殘雪間隙顯露薄紅。

• 天道てんどう歩あるく初はつ茜あかね。

  步於天道。

• 時節じせつ、逸いち早はやし。

  時節流轉飛逝。

• 時とき移うつる間あい

  日轉星移間

• 撓おおる様ような事ことも少すくなからず

  曲折之事依然許多。

• 比翼連理ひよくれんりにも離はなれ方かた

  比翼連理卻仍分離疏遠

• 片笑かたえみ想おもえば愛うるわしみす

  憶起微笑仍覺愛戀

• 丸まるくなった背中せなで語かたる昔話むかしばなしは色褪いろあせぬ

  駝背背影訴說之舊事色調未退

• 想おもひ出での中なか 大切たいせつな言葉ことばで成なり返かえる

  思念之中 以重要言語翻轉復原

• 諸もろ恋こいひて 真日まけ長ながく恋こいひ渡わたる

  相思相愛 戀慕之心已續長日

• 思おもひ積つみてもなお 比翼ひよくは恋衣こいごろも離はなさず

  即便思念久積 比翼也未曾離於戀心

• 常とこしへなり 色いろ深ふかし まるで珠たまの様ような蛍火ほたるび

  歷久情深 宛如珠玉一般螢火

• 此これぞ 真しんの恋こい

  此方為真實愛戀