氷こおり輪わ紫むらさき鬼おに

睦月むつき始はじめ(鳥海とりうみ浩輔こうすけ)

• 氷ひょう輪りん怯おびゆ六花りっかの刻こく

  冰輪懼於六花之刻

• 冴さえ凍こおる顔かんばせ､、咽むせぶ

  凍結的容顏，隨之噎塞

• ささめいて、汀みぎわ揺ゆれる仄見ほのみゆ顔かおは

  悄悄細語，搖曳水邊微可窺見之容

• 手てを伸のばして這はいひ徘徊もとおるる

  伸手往來徘徊。

• 凍しみ凍こおりて痛いたみに心こころが薄うすれていく

  將傷痛冰凍起的心卻隨之薄弱

• 君きみを抱だきしめたこの腕うでに絡からみつく常闇とこやみ

  擁抱你的這雙胳臂與之糾纏暗日

• 狂あざり乞こう傍かたわらで、黒くろ、咲わらふ

  渴求立於狂亂之側，艷黑綻放笑容

• 消きえ方かたの淵ふち、か細ほそい聲こえ

  即將消逝的深淵，傳來細微響音

• 「またあなたに会あえますように」

  「祈願能再與你相會」

• 殯もがり灯ともす、

  點照太平間

• 窄すぼし眼まなこに虚むなしさが沈しずむ夜よる

  黑眸瞇起凝視沒入深夜虛無

• 背そ向がいの闇やみが言いう

  身後的闇黑如此道出

• ―お前まえは呪のろいを背負せおう覚悟かくごがあるのか―

  ―你做好背負詛咒的覺悟了嗎―

• 嘆なげかふ事こともできずに君きみ、紅涙こうるい伝つたう頬ほおは

  連嘆息之舉也不許的你，雙頰落下血淚

• 闇やみの現うつし、

  闇之現世

• 死期しごに喚わめく雪ゆきで消きえ失うす

  嘶吼臨終之聲因雪而逝去

• 黒くろ､、咲わらい

  黑，綻放

• 睨にらまふ先さきには鬼おにの様ような童形どうぎょう

  怒火凝視之處化形為鬼樣幼童

• ―苦く輪りんの唄うたで自みずからに痛いたみを刻きざめ―

  ―以無境輪迴之曲深刻自身苦楚―

• 背中せなに焼やき付つけた

  烙印於背後的災難兇言

• 禍まが言ごとに、取とり憑ついた紫むらさき

  豔紫將之緊握

• 呪のろわれし苦く輪りんの唄うたを謡うたう

  傳唱受詛咒之無境輪迴曲