揺ゆらぐ暗澹あんたんの世界せかいから

芥川龍之介あくたがわりゅうのすけ(小野おの賢章けんしょう)

• 飛とび散ちった赤あかい色いろ 幾度いくど、塗ぬり重かさねても

  漫天飛散的鮮紅色 多少次 層層疊疊的塗抹

• この乾かわき満みたされず 何なにも変かわらない侭まま

  然而這份枯竭仍舊無法被填滿 依然是什麼都無法改變

• 其それでも 其それでも 彼あの影かげを見みつめた

  即便如此 即便如此 也一直在追尋那個人的身影

• 水面みなもから差さし込こむ 光ひかりの様ように遠とおくて

  透過水晶般清澈的水面 光明卻如此遙不可及

• 掴つかめることは無ないとしても

  能抓住的事物一件也沒有

• 弱よわくて弱よわくて未まだ足たりなくて

  懦弱的 懦弱的 卻依然不夠

• 藻掻もかけど届とどかない

  即便掙扎著到達此地卻依然無法傳達

• 呼吸こきゅうも侭ままならず生いきる理由りゆうが

  即便呼吸也不會痛苦 活著的理由

• 其処そこにある限かぎり焦こがれるだろう

  只要在那個地方有著憧憬

• 揺ゆらぐ暗澹あんたんの世界せかいからずっと

  直到搖晃著逐漸黯淡的世界盡頭 也一直是這樣

• 這はい寄よる痛いたみも 些細ささいな出来事できごと

  跌倒 爬行 疼痛這些小事

• 身体からだが仮令たとえ砕くだかれても

  即使粉身碎骨

• 幸福こうふく纏まとった 愚おろかな獣けものに

  披著幸福的愚蠢野獸

• 無邪気むじゃきに踏ふみ躙にじられても

  無辜被賤踏

• 求もとめて求もとめて止やまないもの

  祈求著 祈求著 已經無法停止

• 振ふり向むく幻まぼろしに

  重覆迎來的卻只有幻象

• 逸はやりだす心臓しんぞうを抱かかえながら

  只能強打起精神 將這顆心臟擁入懷中

• 忌いまわしいほどに夢見ゆめみてしまう

  我會做更多令人厭惡的夢

• 深ふかい闇やみの底そこ 瞳ひとみを閉とじた

  在深沉的黑暗底部 閉上雙眼

• こころと云いうものが在あるのならば

  如果所謂的心真實存在的話

• 存在そんざいを見出みだされ

  就能找到存在於此的意義

• 動うごきを始はじめたその時ときから (暗くらき深淵しんえんで)

  從那時就開始蠢蠢欲動 (黑暗的深淵中)

• 願ねがうことなど…

  願望什麼的

• 弱よわくて弱よわくて未まだ足たりなくて

  懦弱的 懦弱的 卻依然不夠

• 藻掻もかけど届とどかない

  即便掙扎著到達此地卻依然無法傳達

• 呼吸こきゅうも侭ままならぬ今日きょうの向むこうで

  呼吸也不會感到痛苦 今天就繼續前進

• 彼あの目めに逢あえたら…綺麗きれいだろう

  與他的目光相遇的話…很美麗吧

• 揺ゆらぐ暗澹あんたんの世界せかいよりきっと

  直到搖晃著逐漸黯淡的世界盡頭 也一定是那樣