蒼そう碧へきの森もり

蒼碧森林

志方しかたあきこ

• 木漏こもれ日びに照てらされて森もりは霞かすみ深ふかく

  陽光穿越枝枒 照亮了霧氣瀰漫的森林

• 行ゆくあてさえ知しらずに 梢こずえのそよぎにさまよう

  不知該前往何方 徬徨於輕輕搖動的樹梢

• 苔こけむしたせせらぎに 蜻蛉かげろうは舞まい踊おどる

  滿佈青苔的淺溪流水涔涔 蜻蜓飛躍起舞

• きらめく碧あおい翅はねは 儚はかない命いのちの色いろ

  閃爍的碧綠翅膀是 虛幻的生命顏色

• 想おもい出で色褪いろあせても 今いまも胸むねに映うつるのは

  即使回憶褪色 現今也仍迴盪於心中的

• 懐なつかしい人ひとの 温あたたかな微笑ほほえみだけ

  僅僅只是 那懷念之人溫暖的微笑

• 翔かけぬける風かぜに心こころを例たとえて

  將心喻為翱翔的風

• 遠とおいあの空そらで巡めぐり逢あえる様ように祈いのった

  祈禱能於那遙遠青空之中相逢

• 蛍火ほたるびに誘さそわれて 闇やみは帳とばりを降おろし

  為螢火所誘 黑暗降下帳幕

• 枝葉えだはの天蓋てんがいに 星空ほしぞらは輝かがやき出だす

  於枝枒聚成的天蓋之間 滿天星斗光輝閃爍

• 透すきとおる月つきの光ひかりを集あつめて

  若是收集澄澈月光

• 遠とおく甘あまやかな日々ひびを夢見ゆめみれば

  就能夢見遙遠的甜美往日

• 時ときの移うつろいに想おもいはあふれて

  思念滿溢於流轉的時空之中

• 雨露あまつゆの雫しずくがそっと頬ほほをなでる

  雨露靜靜淌過臉頰

• 滲にじんだ蒼あおい月つきは果はてない涙なみだの色いろ

  緩緩滲開的蒼藍月光 是無止盡的淚水顏色