とある海賊かいぞく王おうの気きまぐれ

麻枝まえだ准じゅん×やなぎなぎ

• あたしは家族かぞくを失うしなった土地とちを捨すて

  我捨棄了失去家人的那片土地

• ひとり海うみへ

  獨自到海邊

• 一艘いっそうの船ふねを勝手かってに借かりて漕こぎだした

  隨意地借來一艘船划向大海

• 波なみが荒あれ 死しぬかと思おもった

  波濤洶湧 我想死嗎

• 気きが付つけば海賊船かいぞくせんの上うえで

  醒來發現自己在海盜船上

• 義手ぎしゅをかざす海賊かいぞくが

  揮著義肢手的海賊說

• 「あんな船ふねじゃ自殺じさつ行為こういだ

  「在那種船上簡直就是自殺的行為

• 海うみも狂くるってきてる

  現在波浪濤天

• なんなら陸ろくまで送おくろう」

  要不我們送你上岸吧」

• 嫌いやだ! あんな忌いまわしい場所ばしょなど

  不要! 有那麼不祥回憶的地方

• 二度にどと帰かえるもんか

  難道還要再回去嗎?

• ここで働はたらかせてくれませんでしょうか!

  可以讓我留在這艘船上工作嗎?

• 海賊船かいぞくせんはどんな波なみにも負まけない

  海賊船不畏驚濤巨浪

• 揺ゆるがない

  平穩的航行

• その厨房ちゅうぼうで食事係しょくじがかりを任まかされた

  他讓我在廚房幫忙

• 何人なんにん居いるんだ? どれだけ作つくれば

  船上到底有幾個人? 要做多少食物

• 連中れんちゅうはお腹なかが膨ふくれるのか

  才能填飽那幫人的肚子?

• 義手ぎしゅを愛めでる海賊かいぞくは海賊かいぞく団だんの頭かしらで

  那位喜愛義肢手的海盜是海賊團的首領

• みんなに慕したわれていた

  深得眾人愛戴

• 海賊かいぞくなんて名乗なのって

  名為海盜只不過是裝裝樣子

• 格好かっこうだけ付つけてる優やさしい人ひと

  其實他們是心地很好的人

• あたしもよく可愛かわいがられた

  對我也是疼愛有加

• でも奴やつらは船ふねを見みつけると

  但這幫家伙一旦發現船隻

• 容赦ようしゃなく襲おそい始はじめたんだ

  就會毫不留情的開始襲擊

• 返かえり血ち浴あびた奴やつらが食糧しょくりょう抱かかえ戻もどってきた

  身上沾滿他人的鮮血抱著食物歸來

• 仲間なかまになれたと思おもってたのに 泣なきながら

  我曾經以為自己是其中一員 卻忍不住哭著

• 操縦室そうじゅうしつに駆かけ込こみ 舵取かじとり船ふねを走はしらせた

  跑進駕駛艙裡掌著舵 駕駛著船

• 岩壁がんぺきに向むけ

  衝向岩壁

• 義手ぎしゅの冷つめたい手てのひらが

  義肢手那冰冷的手掌輕輕地

• あたしの頬ほおを叩たたいていた

  拍打著我的臉頰

• 「生いきるための犠牲ぎせいだ」

  「這是為了活下去的犧牲」

• でもそれは不公平ふこうへいだ

  但是那不公平

• 弱よわい者ものいじめだと言いうと

  我不服氣的說那是對弱者的欺負

• 「じゃあこれでどうだ」と服ふくを脱ぬぎ捨すてた

  「那你看看這是什麼」首領扯下了衣服

• その体からだの半分はんぶんはぼろぼろの鉄てつで出来できていた

  他的身體竟有一半是破破爛爛的鐵組成的

• 「俺おれも弱よわい者ものだ

  「我也是弱者阿

• なあこれからはひとりで

  我也想過今後就一個人

• やっていこうと思おもうんだが

  單槍匹馬的闖蕩 但是

• この様ざまだ…連つれが必要ひつようだ

  這個樣子…我需要同伴

• ちょうどいい おまえがついてきてくれないか」

  現在正好 你願意跟著我嗎」

• ふたりを乗のせた小ちいさめの船ふねが ゆっくり沖おきへと進すすんでく

  小小的船搭載著兩人 緩緩地朝向海洋前進

• 朝あさの光ひかりへと

  迎向早晨的陽光