彼かは誰たれの夢ゆめ

姫川ひめかわ瑞希みずき(石上いしがみ静香しずか)

• 彼かは誰たれの夢見ゆめみ時じで 一人ひとり立たたずむ君きみが

  在那黃昏之中的夢途上 你獨自站在那裡

• 懐なつかしい声こえで言いった

  用令人懷念的聲音說道

• 「あの花はなはもう咲さいたか」

  「花已開放了嗎?」

• 若草わかくさ燃もえる夏なつの日ひ 小ちいさな種たね携たずさえて

  在那嫩草破土而出的夏日 從遠處捎來、那小小的種子

• 「二人ふたりで花はなが見みたい」と

  「只想與你一起看到那些花朵」

• 恥はずかし気きに君きみが言いった

  你害羞地、解釋道

• 種たねまきて芽吹めぶいた双葉ふたば

  種下的種子 冒出了兩片幼芽

• 君きみが嬉うれしげに綻ほころぶ

  你的臉上綻放出欣喜的笑容

• 「花はなはいつ咲さくのだろう」と

  「何時花朵才會綻放?」

• 今日きょうか明日あすかと待まちわびる

  是今日還是明天、你急切地期盼著

• 「まだか」と君きみのため息いき

  「還沒開嗎」你嘆了口氣

• 「まだね」と私わたしは笑わらう

  「還早呢」我笑著說

• 花はな咲さくその日ひが来くるまで

  直到花朵綻放的那天

• 君きみとずっと待まち続つづけ

  我會與你 一同等待

• 黄昏たそがれの畦道あぜみちで一人ひとり立たたずむ君きみが

  在那黃昏之中的小路上 你獨自站在那裡

• 懐なつかしい声こえで言いった

  用令人懷念的聲音說道

• 「あの花はなはもう咲さいたか」

  「花已開放了嗎」

• まどろみで霞かすむ花はな

  薄霧中那沉眠的花朵

• これは夢ゆめか現うつつか

  是夢境還是現實

• 答こたえる声こえは震ふるわず

  回答的聲音沒有絲毫動搖

• まだ眠ねむる夏なつの夜よの夢ゆめ

  還沉睡著的仲夏夜之夢

• 蜻蛉かげろう揺ゆれる夏なつの日ひ

  蜻蜓搖曳的夏日

• うたた寝ねの眠ねむりを覚さます

  于淺眠中甦醒

• つむじ風かぜが通とおり抜ぬけ

  微風輕撫而過

• 朝顔あさがおが静しずかに揺ゆれた

  牽牛花靜靜地搖曳著

• 「いつか」と君きみの呟つぶやき

  「終有一天…」你低語道

• 「いつか」と私わたしは尋たずね

  「終有一天?」我問道

• 答こたえる声こえは風かぜの音ねに

  回答的聲音 被那風聲

• あっという間まにかき消けされ

  悄然掠去消逝其間

• 黄昏たそがれの畦道あぜみちで一人ひとり立たたずむ君きみが

  在那黃昏之中的小路上 你獨自站在那裡

• 懐なつかしい声こえで言いった

  用令人懷念的聲音說道

• 「あの答こたえは聴きこえていた」

  「你聽到那個回答了嗎?」

• まどろみで霞かすむ影かげ

  薄霧中那沉眠的身影

• これも夢ゆめか現うつつか

  是夢境還是現實

• 答こたえる声こえは震ふるわず

  回答的聲音沒有絲毫動搖

• まだ眠ねむる夏なつの夜よの夢ゆめ

  還沉睡著的仲夏夜之夢

• 君きみと過すごした夏なつの思おもい出で

  那與你共度的夏日回憶

• 朝顔あさがお植うえて花はな咲さく日ひを待まって

  期待那種下的牽牛花 綻放的一天

• 気きづけば夕暮ゆうぐれ 暗くらい帰かえり道みち

  當意識到已是日落之時 黑暗早已鋪滿歸途

• 心細こころぼそくて君きみの手てを握にぎった

  怯懦不安的我 緊緊握住了你的手

• 黄昏たそがれの畦道あぜみちに一人ひとり立たたずむ私わたし

  在那黃昏之中的小路上 我獨自站在那裡

• あの日ひ植うえた朝顔あさがおの花はなの色いろは知しらぬまま

  那天我們一同種下的牽牛花啊 還未得知它的顏色

• せめて夢幻ゆめまぼろしの

  至少 那夢

• なせる泡沫うたかたでいい

  還可以化為泡沫

• 幼おさなきこの手てを取とって

  牽起這只稚嫩的手

• 夢ゆめの終おわりまで連つれてって

  一同走向那夢的盡頭

• 彼かは誰たれの夢見ゆめみ時じで 一人ひとり立たたずむ君きみが

  在那黃昏之中的夢途上 你獨自站在那裡

• 懐なつかしい声こえで言いった

  用令人懷念的聲音說道

• 「またこの夢ゆめを見みてるの」

  「可曾再次見到那個夢境?」

• まどろみで霞かすむ影かげ

  薄霧中那沉眠的身影

• これは夢ゆめか現うつつか

  是夢境還是現實

• 答こたえる声こえは震ふるわず

  回答的聲音沒有絲毫動搖

• まだ眠ねむる夏なつの夜よの夢ゆめ

  還沉睡著的仲夏夜之夢

• ああ どうかまだ消きえないで

  啊 請不要輕易消失啊