紋しるし

喜多村きたむら英梨えり

• 囁ささやく風かぜの声こえ(ね)の旋律せんりつ(しらべ)

  風吹草動 聲音的旋律

• 時雨しぐれの心こころを攫さらい過すぐ

  把時雨般飲泣的內心虜獲

• 透すかした紺碧こんぺきの空そらは

  澄澈的蔚藍天空

• 桔梗色ききょういろに変かわるの

  逐漸變成桔梗色

• 移うつろう幻まぼろしは 赫焉かくえんとして出いづ

  變化萬千的幻影 閃閃的顯現

• 寄より添そえる追憶ついおくと共ともに巡めぐらせ

  與依偎內心的追憶一起 掀動心靈

• 重かさねた灯ともし菱ひし(ともひし)の想おもいは辿たどり来きた路みちの標しるべ

  重重疊疊燈火的思念 是引領我上路的標記

• 幾十許いくそばくの言げんノの葉はよりも一ひとつの紋あや(しるし)

  比起幾十段無數的話語 一個小紋印記便已足夠

• 駆かけ出だす足音あしおとは遥はるか永久とこしえの遠音とおおとへ

  奔騰的腳步聲 永遠地迴響到遙遠之處

• 纏まとった螺旋らせんの誓ちかいをこの両手りょうてで刻きざみ込こんでゆく

  如螺旋般束好的誓盟 用這雙手刻骨銘心

• 弾はじけた水泡みなわの瞬間しゅんかん(いのち)に

  在水泡爆破的瞬間(生命)

• 静しずかな心こころもうち靡なびく

  寂靜的內心也被掀動

• 棚引たなびく薄うす蒼あおの雲くもは 鴇色ときいろの夕空ゆうぞらに

  漫天紛飛的淺藍浮雲 在淡紅的夕陽天下

• 揺ゆらめく紅くれないは 絆ほだす囲かこいを抜ぬけ

  飄搖的鮮紅紫陽花 衝破障礙 解除束縛

• 夢現ゆめうつつの狭間はざまを飛とび越こえて行ゆけ

  飛越夢想與現實的隙間去吧

• 連つらねた灯ともし菱ひし(ともひし)の想おもいは守まもり来きた路みちの標しるべ

  整整齊齊燈火的思念 是一直守護我路標

• 幾重いくえの織色おりいろ羽はよりも一ひとつの紋あや(しるし)

  比起幾多張染物布匹 一個小紋印記便已足夠

• 始はじまりの瞳ひとみの奥おくは最果さいはての向むこうへ

  想始動一切的這雙眼最深處 映照著這道路的最盡頭

• 纏まとった確たしかな誓ちかいをこの両手りょうてで刻きざみ込こんでゆく

  束好的堅實的誓盟 用這兩手刻骨銘心

• 朧おぼろげな雲居くもいに響ひびく 幾千いくせんの心こころ声こえ(こえ)

  幾千個心聲 在曚朧雲層上高鳴

• 水面みなもに映うつした琥珀こはくの願ねがい

  琥珀石的願望 在水面上映照著

• 影踏かげふみより先さきで宿やどして待まて 天あまつ空そらよ

  在重重疊影的前面歇宿等待 在碧藍的天空

• 貫つらぬく灯ともし菱ひし(ともひし)の想おもいは紡つむぎゆく未知みちの導しるべ

  連連貫貫燈火的思念 是不斷解開未知世界的導標

• 幾十許いくそばくの言ことノの葉はより そう一ひとつの紋あや(しるし)

  比起幾十段無數的話語 一個小紋印記便已足夠

• 駆かけ出だす鼓動こどうは遥はるかな永久とこしえの遠音とおとへ

  奔騰的內心鼓動聲 永遠地 迴響到遙遠之處

• 纏まとった全すべての誓ちかいをこの身体からだで刻きざみ込こんでゆく

  束好的所有誓盟 用這身體刻骨銘心